シロアリの基礎知識
シロアリ駆除に役立つ知識として、シロアリが好む場所や生態などを知っておきましょう。
シロアリの生態
シロアリの種類は、現在わかっているだけでも世界中に2,000種類以上といわれています。
そして、日本には約13種類のシロアリがいます。その13種類の中で、建築物等に大きな被害を与えるものに、ヤマトシロアリとイエシロアリがあげられます。
ヤマトシロアリは比較的寒さに強く6℃で活動を始めます。12℃を越えると活発になり、最適温度は28℃です。暑さに弱いので盛夏の高温期には地中や涼しい場所へ巣ごと移動します。
イエシロアリは世界中のシロアリの内でも,最も加害の激しい種類と言われています。建築物でも木造ばかりでなく,コンクリート造の建築物、立木に対しても被害を及ぼします。
関東以北では主にヤマトシロアリが生息し被害を及ぼしています。
ヤマトシロアリは社会性昆虫で、集団を成して枯れ木や朽ち木を食べ、その内部に巣を作ります。特に湿った材を好みます。巣は材の中に網目状に掘られた巣穴からなり、材の外に巣穴を続ける事もあるが、イエシロアリのようにあちこちの材へとトンネルを繋げ、大規模に食害する事はまずありません。また、乾燥に弱く、しめった材にしか入らないこと、自ら水を運ぶことをしません。
成熟したヤマトシロアリのコロニーは、基本的に女王と王を頂点に、偽職蟻(いわゆる働きアリ、ワーカー)、兵蟻(ソルジャー)、ニンフ(擬蛹)、前兵蟻(「白兵蟻」とも)、幼虫からなり、繁殖期にはニンフから有翅虫が生じます。また、女王や王が欠けた場合やコロニーの一部が隔離された場合には、複数の副女王や副王が出現し、コロニーの存続が図られます。
イエシロアリとヤマトシロアリ比較表
イエシロアリ | ヤマトシロアリ | アメリカカンザイシロアリ | ||
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分布 |
本州は東京以西の太平洋側の暖地。四国と九州では平地全域。南西諸島小笠原諸島。 | 日本全国、但し酷寒地と高山を除く。北限は北海道の上砂川(札幌と旭川のほぼ中間点) | 東京、千葉、富山、神奈川、大阪、和歌山、兵庫、広島、鹿児島、沖縄まで点々と発生 | |
有翅 | 体色 | 黄赤褐色 | 淡黒褐色 | 無色半透明 |
体長 | 7~8mm | 5~7mm | 6~8mm | |
翅色 | 無色半透明 | 淡黒褐色 | 無色半透明 | 翅長 | 11~12mm | 7~8mm | 9~11mm |
有翅虫の郡飛 | 時期 | 6~7月 | 4~5月 (沖縄2月・奄美大島3月・東北地方6月) | 3~11月 |
時刻 | 夕方(19~22時) | 午前中(10~12時) | 日中 | |
走光性 | あり | なし | なし | |
兵アリ頭部 | 淡褐色、ほぼ卵形体長1/3の長さ。性質が荒く、攻撃的でかみつき、額腺孔から乳白色の液を出す |
淡褐色、長方形で左右両縁は平行する。体長の1/2の長さ 額線は退化している |
淡褐色、頭の形は四角形。触角の第3節が他節より長大なのが特徴。 乳白色の液は出さない。攻撃性はさほど強くない |
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働きアリ | やや大型。頭部は乳白色 | 小型。頭部は乳白色 | やや大型。乳白色 | |
巣 | 地下に特別に加工した大きな巣をつくる(但し、地下水の高い場所では地上になる) | 特別の巣はない 加害場所が巣を兼ねる | 特別な巣はなく木材に穿孔して集団で生活している | |
加害 | 急性で激烈。 小屋組みを主とし、家屋全体に及ぶ 古材よりも新材を好む | 慢性で緩慢。湿潤な腐朽した木材を好む。 土台・大引・根太・柱・束・浴室・洗面所・洗濯場・台所・便所などの建物下部や水を使う場所に集中する。但し、雨漏れを放置していると梁まで上がることもある | 食害速度は遅いが、建物全体及び家具などの木質材を食害 乾材のみを加害する。被害材の孔道孔から乾燥した砂粒状の糞を排出する | |
ヤマトシロアリとイエシロアリ
ヤマトシロアリは寒さに強く、北海道北部を除く全国に分布しています。 職蟻は体長3.5~5.0mm、兵蟻は体長3.5~6.0mm。濡れた材を好み、被害件数はイエシロアリを圧倒しています。 加害部に数千~数万頭の巣を作ります。
イエシロアリは世界で最も加害力が強い種です。 寒さに弱く、関東以西以南に生息しますが、温暖化や住宅の高断熱化で"前線"が北上しています。 乾いた材でも濡らしながら食害していきます。職蟻は体長3.3~5.2mm、兵蟻は体長3.8~6.5mm。 加工した塊状の巣を形成し、そこから広範囲に渡って活発に餌を求めます。 活性の高いイエシロアリの巣では個体数が数百万頭にも達すると言われています。
ヤマトシロアリとイエシロアリは兵蟻(へいぎ・兵隊アリ)で容易に見わけられます。 ヤマトシロアリは頭が長細い2頭身(全長の半分が頭)で、指を出すと逃げてしまいます。 イエシロアリは頭が卵型の3頭身で、指を出すと噛み付き乳液状の分泌物を出します。
土壌性シロアリと乾材シロアリ
土壌性シロアリにとって水分は非常に重要で、土中から蟻道(ぎどう・シロアリの通るトンネル)を伸ばして水を運び、木材に害を加えます。
一方、乾材シロアリは乾燥した木材に含まれるわずかな水分で生きられるので、 輸入家具からや、羽アリが飛来して小屋裏に上がります。土壌性シロアリとは侵入経路が異なるので、同じ措置では防ぐことができません。
土壌性シロアリ | ヤマトシロアリ | 北海道北部を除く、ほぼ全国に分布 |
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イエシロアリ | 関東以西以南に分布 | |
乾材シロアリ | アメリカカンザイシロアリ | 全国に点在 |
ダイコクシロアリ | 奄美大島以南の南西諸島と小笠原諸島に分布 |