ハクビシンは住居に侵入し屋根裏などに巣を作ります。この巣の近くで排泄を行うために糞尿の汚損被害が起こります。糞尿は悪臭の原因になるというだけではなく衛生的にも問題があります。
さらに気をつけたいのは人畜共通の感染症です。この動物は、2002年に中国で発生し世界を騒がせたSARS(重症急性呼吸器症候群)の天然宿主ではないかと報告されました。これは、糞からSARSの遺伝子配列と非常に近い遺伝子配列のコロナウィルスが発見されたからです。
その後、キクガシラコウモリがSARS固有宿主でこのコウモリから感染したのだという調査報告もあります。
まだはっきりしたことはわかっていませんが、SARSを媒介する動物であるという可能性は払拭できておらずまだまだ注意が必要です。
ハクビシンが住居に巣を作り糞尿をすることで、そこが感染症を引き起こす寄生虫の発生源になることがあります。
この動物が媒介する病気はSARSだけではありません。他にも、トキソプラズマ、レプトスピラ症、サルモネラ症、E型肝炎などがあります。これらは感染し発症すると命にかかわることもある病気です。なお、感染しても自覚症状がないことも多いです。
また、巣を作られ棲み着かれるようになって、ノミやダニの被害が発生したとの報告が多数あります。
糞尿から発生したダニを媒介するケースもあります。そのため、糞尿を早期に処理することが必要です。
また、ダニの死骸や糞はアレルゲン物質となり気管に入ると喘息を、皮膚に吸収されるとアトピー性皮膚炎を発症する可能性が高まります。
ハクビシンは、人畜共通の感染症を媒介する動物です。住居に侵入すると人に病気の原因となるウィルスや病原菌を伝染させる可能性もあるので、見かけた場合は早急に対策が必要です。
また、姿は見かけていなくても以下のようなことがあれば侵入されているかもしれません。
屋根裏で大きな音がする、屋根裏で動物の糞のようなものを見かけた、天井にシミができている、家庭菜園や畑の食べ物が食べられていた、夜間庭や屋根に動物の影を見たなど、心当たりのあるときは注意してください。このようなときは被害がひどくなる前に駆除業者に相談をしてみてください。
なお、この動物は鳥獣保護法で保護されているので、捕獲には都道府県知事の捕獲許可が必要になります。
また、捕獲には鳥獣免許が必要です。ですので、専門の駆除業者に相談することをおすすめします。